話題、集客力がたかいものとは?
フィデリティ投信(東京都港区)は団塊世代のリタイアメントをテーマとした大規模なマーケティング活動を福岡で実施した。同社が本格的な地域マーケティングを行うのは初めての試み。ではなぜ「福岡」が選ばれたのか。同社の福岡におけるプロモーション展開を紹介しながらその理由を探る。
市場規模とメディアコストが実施の決め手
2007年問題の真っ只中、団塊世代を対象とする商材をもつ企業にとって、新規顧客の獲得は大きな課題となっている。フィデリティ投信は今年4月16日より約1カ月半、リタイアメントをテーマとした大規模なプロモーションを福岡で実施した。期間中は紙メディアにおける広告展開に加え、西鉄福岡(天神)駅でステーションジャックや駅周辺でのサンプリング、西鉄大牟田線車内中吊り広告を行った。また、地元のRKBラジオではミニ情報番組を提供、更にソラリアプラザ「ゼファ」でのイベント、そして地元金融機関との共同セミナーなど、プロモーションは多岐に渡った。
福岡でこのような大規模プロモーションを行ったことについて、フィデリティ投信 インターミディアリー・マーケティング部長 今福啓之氏はこう語る。「理由は三つあります。一つ目は、福岡には生活者に信頼されている金融機関が多いこと。二つ目は、地方都市としての市場規模に魅力を感じたこと。そして3つ目はメディアのコストが安いことです。これだけのプロモーションを東京で行うと、おそらく倍以上の予算が掛かるでしょう」
広告は“I will(アイ・ウィル)”をテーマとした共通のビジュアルで展開。「自分で考えて行動を起こす。リタイアメント層が将来の備えに必要な事柄に自ら『気付き』、自らの意思で対策を取る。その姿勢を“I will”という言葉と企業ロゴで表現しています。団塊世代に向けてファンドの販売促進を図ることがプロモーションの目的ですが、その前に団塊世代に退職金を運用する必要性に気付いてもらうことを重要視しました」(今福氏)
“I will.”というテーマでビジュアルを統一。リタイアメント層の様々な面を打ち出した。
メディアと連動したイベントも開催
また期間中の4月18日から30日には、グループ会社のフィデリティ証券と共催で『お金のチカラを見直す13DAYS』というイベントを実施。これは13日間にわたりソラリアプラザ「ゼファ」で行われ、フィナンシャル・プランナーを始めとする投資の専門家によるマネーセミナーや無料相談会を実施。また、フィデリティがウェブサイト上で展開する各種シミュレーションをパソコンで体験できる設備も用意した。そのほか「ゼファ」を運営する天神エフエムの企画で、コンサートやファッションショー、生花やヨガのデモンストレーションが行われた。同時にアーティストのトークイベントなども実施され、その様子をコミュニティーFMのFreeWave天神エフエムで生放送し、イベントとラジオを連動させた。
その結果、『お金のチカラを見直す13DAYS』は多くの来場者を集め、共催したフィデリティ証券からも、「このイベントによって新規顧客を獲得できた」といった声も挙がるなど、目に見える成果も出てきたという。消費者に「お金の大切さ」を知ってもらうというアプローチが集客に結びついたようだ。
高級感ある施設のイメージを商品に重ねて訴求
6月中旬、オープンして間もない東京ミッドタウンの地下1階フロア約90mに渡り、車のタイヤ跡が出現した。これをたどっていくと、ショールームのように演出されたホンダ「CR-V」の展示イベントに行き着く。タイヤ跡は、地下鉄日比谷線と大江戸線の六本木駅から同施設内へ進むと目に入る、長さ50mに及ぶ壁面広告が起点。そこから展示会場までをつないで、より多くの人に会場へと足を運んでもらうための動線とした。
1995年の発売時より根強く支持されている同車だが、昨年10月にワンランク上の車種としてフルモデルチェンジを行った。ターゲットは30代から50代の男性で、情報感度が高く車に対するこだわりがある層。「The Grand SUV. CR-V」というフレーズで高級感や上質さといったイメージを更に強めていく今期は、新聞広告とウェブサイト、そして実車を見てもらう展示イベントを組み合わせたクロスメディア・キャンペーン「CR-V in Tokyo Midtown」を展開した。
床面を活用したタイヤ跡の展開図。大江戸線と日比谷線から施設内に入る場所にインパクトのある広告を掲出し、展示会場へとつないだ。
フルモデルチェンジの大きなポイントは、外観のスタイリング。これまで比較的スポーティだった雰囲気を一新し、都会的な印象を与える洗練されたボディとなっている。企画を担当した電通 アカウントマネジメント局 小田純生氏は「より多くの人に、上質に生まれ変わったCR-Vを知ってもらうためには、実車を見てもらうことが有効だと考えました。大人の情報発信地というイメージがあり、話題性や集客力も高い東京ミッドタウンを展示にふさわしい場所として選定し、ミッドタウン自体をCR-Vの上級イメージへの移行を促すコンテンツととらえ『CR-V in Tokyo Midtown』としてキャンペーンを組み立てました」と話す。
展示イベントを開始する6月16日に先駆けて、5月18日と6月15日、全国紙と地方紙に「CR-V in Tokyo Midtown」と打ち出した告知広告を掲出。東京ミッドタウンの特徴的な場所に車を配置したビジュアルで、施設イメージとの連動を促した。同時に、施設内の店舗からセレクトしたグッズが当たるプレゼントキャンペーンをウェブサイト上で実施した。
地下鉄出口から壁面広告を経て会場へ誘導するタイヤ跡
施設内では、日光が差し込む展示イベントアトリウムに、アーチ状のセットと照明を設置して展示スペースを演出。この展示へ来場者を誘導するために展開したのが、50m壁面広告と、同施設で初めての使用となる床を利用したタイヤ跡だ。「50mの壁面広告は、ちょうど大江戸線と日比谷線から館内に入る位置にあり、通行量が多いため、通勤や買い物で利用する人の視認を狙いました。そこからできるだけ多くの人に展示会場へと足を運んでもらうため、クリエイティブスタッフのアイデアで展示会場までの道筋にタイヤ跡を展開し、動線を示しました」(小田氏)。床面の利用は施設側の賛同を得て、特別に実施したもの。2週間に及ぶ展示期間中に、シートがはがれるなど景観を損ねることがないよう、現場検証を重ねた。貼付面はやや凹凸のある床面に沿わせるため、アルミ素材を裏貼りした特注フィルムを活用。歩行の妨げにならないように、アルミ素材とフィルムの貼り合わせにも工夫を施した。
壁面広告は、あらゆる角度から撮影した車のビジュアルを内照式設備で照らして強調。この壁面広告を見た人への調査では、車種に興味・関心を持った割合が約90%にも上った。また、展示会場に来場した中で、ターゲット年齢層の男性にアンケートを実施したところ「質感がある・都会的・洗練された」といったイメージが、従来からのイメージに比べ大きく向上。以前のモデルを知っている人も「高級になった」と答えるなど、モデルチェンジを印象付けたことが分かった。
「展示や広告は、施設と調和する素材や風合いを意識して設置したことで、施設側からも好評を得られました。商業施設内に動線を示すというのは初めての試みでしたが、興味を持ったという意見もあり、見た人に楽しんでもらえたと思います」と小田氏は手応えを話す。商業施設を活用し、商品の訴求点を効果的にターゲットに訴求した好例と言えるだろう。
商圏内の競合店についてカード化しましょう。また、周辺地域の「集客施設マップ」に自店と競合店をマッピングし、それぞれが集客の上でどのような条件下にあるかを把握しましょう。それらの情報をもとにあなたのお店の機会を活かして強みを伸ばすのです。
売上の主力は婦人服ですね。差別化のためにお店のカラーを和風と設定なさっているようです。でも和のテイストを取り入れることは最近では珍しくありませんから、ひょっとすると、あなたは競合他店と同じようなことをしているのかも知れません。競合店調査の方法とその結果の活用を考えてみましょう。
先ず、あなたのお店のお客様はどの範囲に住んでいらっしゃいますか?来店までの交通の便から仮説的に半径○kmと推測したり、地域別にチラシを配って反応をみたり、曜日・時間帯別の来店客に居住地域を直接ヒアリング調査することで調べてみましょう。お客様の来られる範囲を「商圏」といいますが、更にその商圏内のお客様が買い物をするであろう広域商圏にある競合店をリストアップします。
次にその競合店の競争力をチェックします。チェック項目は競合店ごとにカード化するのが便利です。カードは、競合店の店名・住所・営業時間・面積・駐車場の有無・開店日などの属性データのほか、主力商品・客層・価格帯・プロモーションの観察結果、品質・サービス・清潔感の分析結果を記入できるようにし、最後にその競合店の「強み」と「弱み」が導き出されるものにしましょう。各競合店を実際に訪れて調査します。できれば平日と週末の来店パターンを観察し、またPOPやレイアウトの変更頻度を知るために週次、月次、季次のデータを集めたいところです。デジタルカメラか携帯電話付属のカメラ程度で構わないので、写真も撮りましょう。店の人に一言断ってから撮影するのが原則ですが、ここではそれ以上立ち入らないことにします。
更に、競合店への人の流れも重要なポイントです。地域の集客拠点となるような施設を把握しましょう。競合店がどのように集客施設からお客様を呼び込んでいるのかを分析し、自店の集客に活かします。例えば、チラシ配布ひとつとっても、より多くの人の集まるところや流れの方向(これを「動線」と云います)が判れば、効果的なプロモーションが可能になります。こうした集客施設には、駅などの交通拠点・スーパーなどの商業集積・娯楽施設・大規模住宅地・事業所・学校・病院・官公庁施設などがあります。自店周辺地域の「集客施設マップ」を作成しましょう。自店と競合店ももちろんマッピングします。車道・歩道のほかバス路線なども記入して、人の流れが判るように工夫して下さい。自店と競合店が、集客の上でどのような条件下にあるかが見えてくるはずです。
最後に、分析結果をどう活用するかを考えましょう。競合店と比較した場合の自店の相対的な「a.強み(Strength)」と「b.弱み(Weakness)」を一覧にします。また自店を取り巻く環境について、売上を伸ばす上でのプラスポイントを「c.機会(Opportunity)」、マイナスポイントを「d.脅威(Threat)」として一覧に加えます。このa〜dの4象限を「SWOT分析表」と呼びます。この中から、機会を活かして強みを伸ばす方向で、「ターゲットマーケットの明確化」と、競合店との「差別化」を図るのです。例えば、分析の結果、ターゲットとなる客層を「和風の好きな女性」から「和のテイストを取り入れるきっかけとしての情報が欲しい男女」に拡大することが望ましいと思われたとすれば、「暦の知識」とか「日本の伝統色の知識」などを提供し、普段の洋服にワンポイントでその知識を活かす方法を提案することで、あなたのお店が差別化されるかも知れません。そして、そのような店作りと同時に、「集客施設マップ」を見ながら、あなたのお店に人の流れを呼び込むように店舗視認性を工夫したり、店外の顧客動線に合わせてチラシ配布したりすることで、来店客数増加を狙うのです。あなたの手が回らないところがあったら、そこで初めて中小企業診断士などの専門家に依頼する、と整理すればよいでしょう。